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書籍名 『国家の品格』 [amazon.co.jp で検索]
出版社名 新潮社
著者名 藤原 正彦
[001] 2006/02/04 18:20:35 三田 守久
 著者のものはあちこちらで読んでいるつもりでしたが、改めて読むとほんとうにすばらしい。

 相当によく売れているようですが、、、。

 自分の言いたいことを、みんな言ってくれて「ありがとうございます」と感謝したいくらいです。
 以下は、気にいった表現の羅列です。なんだか「書評」にならないけれども、いうことないのですよねえ。

 「現在進行中のグローバル化とは、世界を均質にするものです。日本人はこの世界の趨勢に敢然と闘いを挑むべきと思います。普通の国となってはいけないのです。欧米支配下の野卑な世界にあって、『孤高の日本』でなければいけません。『孤高の日本』を取り戻し、世界に範を垂れることこそが、日本の果たしうる、人類への世界史的貢献と思うのです。」(6ページ)

 「このように十世紀間という長期にわたり非常に遅れていたヨーロッパで、まずルネッサンスが起こり、理生が解放されるようになって、ヨーロッパは初めて論理や近代合理精神というものを手にした。これによって産業革命が起こり、その後の世界は欧米にやられてしまったのです。
 このような愛国者にとって、我慢のならない状況が続いていたわけです。ところが、待ちに待った欧米支配の綻びが、ついにやってきました。」(16ページ)

 「私が言いたいのは、論理や合理性が幾ら通っていても、それだけではうまく行かない、民主主義は成立するための前提すら満たされていないし、自由と平等はその存在すらフィクションである、ということです。」(92ページ)

 「私は日露戦争、日米戦争は、あの期に及んでは独立と生存のため致し方なかったと思っております。あのような、戦争の他に為す術のない状況を作ったのがいけなかったのです。
 しかし、日中戦争は別です。策士スターリンと毛沢東に誘い込まれたとはいえ、当時の中国に侵略していくというのは、まったく無意味な『弱い者いじめ』でした。武士道精神に照らし合わせれば、これはもっとも恥ずかしい、卑怯なことです。江戸時代は遠くなり、明治も終わり、武士道精神は衰えていました。」(120ページ)

 「能率・効率は素晴らしいかもしれません。しかし各国、各民族、各地方に生まれ美しく花開いた文化や伝統や情緒などは、そんな能率・効率よりも遥かに価値が高いということです。『たかが経済』を、絶対に忘れてはなりません。」(138ページ)

 「日本というのはそれほど素晴らしい土壌を持っていた。この土壌こそが実は国の底力なのです。江戸を見れば、明治以降の目の覚めるような近代化は必然だったのです。アジアやアフリカの国々は、近代化にあたり日本の明治以降を真似しようとしましたが、うまくいきませんでした。明治維新後の日本の驚異的発展は、体制や政治がよかったというより、驚異的底力によるものと思うのです。(176ページ)

 「・・・現代を荒廃に追い込んでいる自由と平等より、日本人固有のこれら情緒や形の方が上位にあることを、日本は世界に示さねばなりません。自由、平等、市場原理主義といった教義は、共産主義がそうであったように、いかに立派そうな論理で着飾っていても、人間を本当に幸せにすることはできないからです。」(185ページ)

[002] 2006/02/26 13:55:36 山田博英
 今僕の持つ問題意識は、失われてきている「情緒と形」を回復するにはどのボタンを押すのが良いか、ということなのだが、この本は「論理」でなく「情緒と形」というボタンを押せといっている。僕は生活軸においてはそれは有効と思う。一方社会軸の中心たる産業界にこの話を持ち込むとどうもこの本とすれ違うのだ。
 著者は「論理には出発点が必要である」ことが論理のみでゆくときにそれが破綻するのだという(p50)。僕は全くこれに同意するのだが、しかし例えば組織を動かすということになると現場で起こる個別事象を観察して、そこから全体を動かすための「出発点」をみつけることが必要である。現状は世界が複雑になりすぎて、そこに論理を使わないと、今までのように直感だけではうまくゆかなくなってきているのではないだろうか。僕はこの本を社会軸に向けて読んでいるのでどうもすれ違ってしまうのだ。

ところでこの本は僕には論理を駆使して「情緒と形」論を展開していると思うのだが、この本の著者はどういう気分でおられるのだろうか。

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