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書籍名 『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書197) [amazon.co.jp で検索]
出版社名 新潮社
著者名 郷原 信郎
[001] 2007/03/25 08:48:16 三田 守久
 読み終わって印象のうすい本である。

 多分、著者に現場的経験のないせいではなかろうか。現場的経験がないとはどこにも書いてないが、そうであるに違いない。

 書かれている内容はおおむね妥当なのだが、期待したほどには深く突っ込まない。述べられている内容は正しいのだが、抽象的なレベルに終始する。方策が具体的でない、あるいは現実的、実践的でない。

 著者は、「法令遵守」とはコンプライアンスのことではない、コンプライアンスは法令遵守を含むもっと広い、道義的な側面にも思いを馳せなければならないような概念であって、法律さえ守ればいい、なにをしても許されるというようなものではない、という現代の風潮に警告を鳴らす。

 でもまあ、その程度のことは万人の承知しているところであって、読者の関心はもっと深いところにあるだろうと思う。

 どこをとってもそうなのだが最後の締めくくりは、

 「つまり、組織が『眼』持つことです。構成員一人一人の鋭敏性が組織としての鋭敏性に昇華し、社会環境という光に反応し始めたとき、組織に『眼』が生まれます。
 そこから、組織の爆発的進化が始まるのです。」

と、組織が環境の変化に適応すべきであると、カンブリア紀に起きた(らしい)「光スイッチ説」を例に挙げて説明している。

 まあ、そうだな、とは思えるがすべてそのレベルで終わっている、というのがこの本が印象に残らない理由ではなかろうか。

 著者の履歴が、検察庁出身ということだからであろうか。

 文中、模範的で「法令遵守」的な表現ばかりだが、これは(「日本」とはいわないが、べつの)なにかを滅ぼす、というようなことはないのだろうか。
                  

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