書評へのコメント追加

書籍名 『日本語はなぜ美しいのか』(集英社新書) [amazon.co.jp で検索]
出版社名 集英社
著者名 黒川伊保子
[001] 2007/12/09 22:45:29 三田 守久
 こういうタイトルの本を読むのは気恥ずかしい感じをもつ人間も多そうだが、かなり真面目な内容で、しかもおもしろい。

 これから親になるひと、これから孫をもつことになるひとは必読の本だと思う。

 まず日本語は「母音を主体に音声認識する、世界で珍しい言語である」(30ページ)そうだ。。日本語と同系列の言語は、この地球上ではポリネシア系の言語(ハワイ語を含む)しかないそうだ。このこと自体は、ほぼ30年前に出た角田忠信氏のあの画期的な著書『日本人の脳』にも記述されていることだから驚くことではなかった。

 だがそのほかはかなり新鮮な話題が多かった。

 まず「母語」の重要性が説かれる。
 「人生の最初の三年間、人は、母語と出会い、ことばと意識と所作と風景と、周囲の人々の反応と結びつけていく。
 母語は、母親(主たる保育者)との密接なコミュニケーションによって形成されていくもので、肌と肌を合わせ、息遣いを感じながら、脳に根づいていくものだ。赤ちゃんをベッドに寝かせたまま、言語教育ビデオを見せ続けても、赤ちゃんの母語は形成されない。母語が形成されないと、外界を上手に認知できず、他者とコミュニケーションもとれない。」
というあたりがこの本の「肝」か。
 「母語」が脳にしっかりと定着する(社会性を獲得する)のは8才まで、、、。この時期が「母語」獲得の臨界期だそうである。

 次いで「9才から11才までの三年間は、感性と論理をつなげ、豊かな発想と戦略を生み出す脳に仕上げていく、いわば子どもの完熟期だ。」ということになる。

 著者は外国語教育をするならば、この時期を過ぎてからでなければならない、と主張する。

 こうした話のほかに、日本語がいかにすばらしい言語であるかを力説する。ほとんど双手をあげて賛成することばかりだ。つまり由緒正しい、という。そしてそれが美しい、ともいう。

 ことばには、正しさとか美しさとかいうべきものがあって、それは、口の中の模倣と、ことばの指し示すところの事象が一致していることで、ソクラテスもそう言っているのだそうである。日本語はまさにそういう言語である、ということだ。

 角田忠信氏の業績を受け継ぐ立派なものだと思った。

書評・コメントを追加してください。

発言者名
内容
ID
パスワード

書評・コメントの追加には入会時にお知らせした Swimy メンバー専用の共通 ID とパスワードが必要です。ID や パスワードが不明のときは事務局(contact@swimy.org)までお問い合わせください。