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書籍名 『グレイト・ウエイヴ』 [amazon.co.jp で検索]
出版社名 小学館
著者名 クリストファー・ベンフィー著 大橋悦子訳
[001] 2008/01/14 16:47:06 三田 守久
 文明は(その発祥の地がどこかとかいうことはともかくとして)、陸路を西に向かって進んで、その後大西洋を渡ってアメリカに、一方、東に向かっては極東の島国、日本に到達した。結果、太平洋を挟んでまったくあべこべの世界ができあがって、お互い引き合うような関係で対峙することとなった、とまあ、ざっくり言うとそういうことを感じさせるあるいは考えさせた本であった。

 松坂大輔がレッドソックスに入団したときに、ボストンはわれわれ日本人にはよく耳にする地名だが、向こうのひとびとが日本をそれほど話題にするところとは、思わなかったのだが、この本の著者の住んでいる街、アマースト(ボストンから車で3時間ほどのところの大学の街らしい)ではそんなことはなくて、ずっとむかしから(といってもここ100数十年ほどで考えれば)たいへん関係の深いところだったそうだ。

 たしかにアマースト大学を検索してみると、「少年よ大志を抱け」で有名なあのクラーク博士や、『武士道』の新島譲とか内村鑑三などの名前が出てくる。

 この本は著者の住んでいるマサチューセッツ州アマースト縁(ゆかり)の人物で、日本と大なり小なりの関係のあった何人かを時系列に取りあげたドキュメンタリーとなっている。登場人物は、ハーマン・メルヴィル(『白鯨』の著者)、ジョン・万次郎(漂流してアメリカに渡り後、のち帰国)、エドワード・シルヴェスター・モース(日本では大森貝塚の発見者として有名)、岡倉天心(『茶の本』の著者)、パーシヴァル・ローウェル(天文学者)、九鬼周造(『「いき」の構造』の著者、ラフカディオ・ハーン(日本名小泉八雲)などなど多士済々で、こんなにも多くのひとびとが関係しているような土地柄だったのか、とあらためて感心してしまう。

 著者によれば、「本書は、“オールドジャパン”の探求や保存にみずからを捧げた鑑定家、収集家、科学者といった旅行者たちの物語を綴ったものである。」(21ページ)そうだ。

 とくに思想的になにか感銘を受ける、というような内容の本とは思えないがなかなかに楽しい。2003年度の全米ベスト10(シカゴ・トリビューン紙)に選ばれたそうである。

 日本もアメリカもお互いに「恋い焦がれた」仲だということか。そう思うといろいろ見えてくるものもありそう。

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