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書籍名 『Googleとの闘いー文化の多様性を守るために』 [amazon.co.jp で検索]
出版社名 岩波書店
著者名 ジャン-ノエル・ジャンヌネ著 佐々木 勉 訳
[001] 2008/03/02 20:35:00 三田 守久
 著者は、フランス国立図書館長で、かってミッテラン政権で通商政務次官を勤めたひとだそうである。また訳者も、郵政総合研究所客員研究員などを経ているそうである。つまり著者も訳者も官僚経験があるということからくるのであろうか、国の政策には比較的肯定的に論じている。

 本のタイトルの文言から取れば「フランス(あるいはヨーロッパ)の文化の多様性を守るために国策としてGoogleと闘う」というのが趣旨であろうか。

 著者の問題とするところは、われわれが(日本で)気にしているところとほとんど軌を一にしていると言える。

 「・・・我々はどんな本が選択され、どんな基準でリスト化されるか・・・」(6ページ)

 「・・・大西洋を跨いでアメリカで行われる翻訳数は極端に少ないということも指摘おきたい。それはアメリカで出版される全書籍数の三%にも満たない。これは支配の結果であり、意識するかどうかにかかわらず、そこから傲慢さが生じ、世界中のアメリカ・ヴァージョン化が自ずと優先される。」(10ページ)

 「・・・私はグーグルの検索エンジンを批判しているのではない。・・・さまざまな次元での挑戦(目覚ましい発明であるワールド・ワイド・ウェブの恐ろしいまでの多様性)に直面しながら、無気力に過ごしてきたヨーロッパに注意を喚起することなのである。」(37ページ)

 「ヨーロッパは(他の貧しい国も)、市場のために重要なルールを都合よく曲げることさえ辞さないアメリカを理解するうえで、絶好の位置にある。例えば、アメリカ政府は自国の農民を保護していながら、アメリカの航空機が売りに出されれば市場の力を唱えて購入を促す。」(43ページ)

 しかしこれはずいぶんと調子のいい主張だ。自分たちもアメリカと同じ振る舞いをしながら、貧しい国などを持ち出して相手の非を攻撃するのは得意であろうに。さすがヨーロッパ、さすがフランスか。

 「・・・グーグルそしてヤフーは中国市場への進出と引き替えにそうした検閲を認めた。これが『世界中の情報を体系化』する彼らのやり方なのだ」(60ページ)

 「成長著しい中国や、この分野ですでに力を持っている日本は、言語的な違いに守られ自らの検索エンジンを開発するかもしれない。したがってこの機会を逃すならば、ヨーロッパは苦い薬を飲まなければならなくなる。」(100ページ)

 「アメリカ図書館協会会長マイケル・ゴーマンは情報と知識の区別について鋭い指摘を行った。・・・検索エンジンを用い検索独特の基準に従い、互いに独立したページでしか本を見つけ出さないことは、必ずしも本を探しあるいはそれを利用する良い方法(そして確実にもっともためになる方法)ではない。本は全体として設計されたもので『連続的に蓄積的に読まれるべきものである』と指摘した。そうだとすれば、グーグルはこのニーズに応えていない。それは全体として作品を考えるのではなく、キーボードを叩き個々のページにしか関わっていないからである。」(108ページ)

 おおむね理解できるような指摘(記述)だが、つぎの点は日本でもあまり話題になっていないように思う。

 「単独で頼るべき親会社をもたない会社がそうであるように、グーグルは羽振りの良さの陰にもろさを隠している。最近、リーサ・バイソネット(ケベックの新しいグラン・ビブリオークの館長)は、『もしグーグルが破産を宣告したなら、そこでデジタル化された遺産は誰のものになるだろうか』という疑問を投げかけた。」(99ページ)

 たしかに。Googleが倒産したときのことも考えておかねばならない。

 「情報大航海」プロジェクトもよさそうではないか。誰が利権を貪っている、などというのは小さな問題かも、、、。

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