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書籍名 「律」に学ぶ 生き方の知恵 [amazon.co.jp で検索]
出版社名 新潮選書
著者名 佐々木閑
[001] 2011/06/04 17:06:24 山田博英
世俗で暮らしていたのではとうてい実現できない人の「心の改良」という困難な、しかしやりがいのある目標に向かって出家した僧がひたすら修行する組織、それが本来の仏教というものである。その組織は一切の生産活動を禁じられているため生活の糧や活動のための資材は托鉢によらねばならない。したがって世間の人々から嫌われると成り立たない。僧がそのような行動を取らないための組織運営規則を「律」といい、世間の価値観によく自分たちを合わせるように厳密なものになっていて、その運営の在り方によって仏教という組織は2500年もの長い年月続いているのである。
この構造は一般の組織にも当てはめられる、というのが著書の主張である。そこで重要なのは出家の概念を我々の俗世界のシステムに取り入れることだが、その時一般社会に向けて言えば、「一生かけて自分がやりたいと思う目標に人生を捧げて邁進するすること」である。
著者曰く;
「「読者諸氏にお願いしたいことはただひとつ。「正しい出家世界を守らねばならない」という共通認識を持っていただくこである。一般社会の人々が、出家世界をどう扱うか、というその関係性が、社会全体の方向性を決める重要な基点になっている。出家せかいを守れなくなった社会は、皆が目先の欲望や保身だけで利己的に動き回る低劣なものになる・利益追求のための組織はもちろん必要だが、生きがいのための組織がなければ社会は迷走する。そしてその生き甲斐のための組織の基本原理が出家なのである。」」
たしかに僕らの今の社会構造は「出家」心がそがれてゆくような世界になっていて、現場で一生懸命やっている人たちが不要な精神的圧迫と労働を強いられて暗くなっているのではないのだろうか。僕らは社会や企業としての責務の中に「出家」の精神をどう取り入れて組織の内部で働く人々が生きがいをもって働けるか、そのヒントとなる大変有用な著作である。

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